台湾内には香港人情報網があります。といっても地下組織ではなく、単なる同郷人の口コミ。松山區でパン屋さんを開いた香港人の職人さんが「香港人が開いた、香港の味がする牛肉麺屋があるよ」と教えてくれたのが「大膽牛腩麵」。
香港風やレトロを狙った食堂ではありません。台北の街に溶け込んだ、でも入って食べたら全然違う香港的パンチ力が大胆な麺屋さんです。
「南京復興」駅から高架の線路沿いに、復興北路を民生東路に向かって北へ。この辺りは旅行者として台北を訪れていた頃、好きでよくウロウロしていました。住むようになったら仕事や住まいのエリアがずれて、あまり来なかったので、お店の存在を知りませんでした。知っていても、外観を見ただけでは「よし入ろう」とは思わなかったな。知りあいや友達、美味しいものに関わっている人から聞く口コミは大事。
看板は牛肉麵ですが、ワンタン麺を食べてみました。
麺は香港生麺(たまごと小麦粉の麵)、香港河(米粉のフォー)、陽春麺(台湾スタイル)から選べます。メニューの写真と見比べながら、注文票にチェックを入れてオーダーしましょう。
ワンタン麺はスープ入りと、スープが別になるのと2種類。この日は寒かったので、他のお客さん達はスープ入りを食べていました。
だが私が選んだのは、XO醤たっぷりのせのエビワンタン麺・スープ無しの「XO干貝醤拌麵(140元)」。
香港スタイルのたまご麵は細くて茶色、こしの強いタイプです。
エビがぷりぷりどころか、ゴリゴリ入っているワンタンがこれでもか、これだけあれば満足だろ!?とばかりにごろごろ。
台湾でワンタンは饂飩や扁食などと表記することが多いですが、香港の場合は雲吞です。
ひとつひとつのボリュームといい、エビワンタン好きな人にはたまらない。ワンタンだけのメニューもあるので、ビールと一緒に夜軽く食べるのいいかも。
どっさりのったXO醤がニンニクきいてぴりっとします。途中で酢を少し足せばまた味わいが替わってまろやかに。
カレー系のごはんや麺類もあって、どれも美味しそう。一つずつ全部制覇しに密かに通っている人もいるようですよ。
厨房にいたオーナーは、見るからに香港人の男性でした。台湾人男性とは醸し出すムードが違うんですよね。うまくいえないけれど、こちらを無視しているようで、気配をじっとさぐっているような、でも喋り出すと「なんだよー早く言えよー」とすぐ打ち解ける感じ。香港から来てここでお店を開いて、もう5年になるそう。パン屋さんが教えてくれてよかった。台湾中国語と広東語を使い分けて接客していました。
コムデギャルソン風のお兄さんがひとりでふらりときて静かに温かい麵を食べていたり、近所の常連夫妻が「大将、いつもの」と注文していたり。店内は広くありません。昼休みなしで夜は9時まで、通しで営業しています。遅めの昼食もちゃんと食べられるし、夕食をシンプルに、でもがっつり食べるのに良い感じのお店です。
<基本データ>住所:台北市中山區遼寧街222號
(MRT「南京復興」駅から徒歩10分)
電話:02‐2518‐2699
営業時間:月~土 11:30~21:00
定休日:日曜日
<コーディネーターのちょっとひと言>台湾で香港人が開くお店が増えてきています。香港時代はこの茶色くて細い麵があまり好きでは無く、エビワンタンも苦手で滅多に食べませんでした。でもこのお店でなぜか、敢えて注文してしまった。そして好きになりました。台湾の麺類もとても美味しいけれど、ちょっと目先を変えたい時に、パンチを受けに行ってみてください!
(担当特派員:TOP33号)
ランキング参加中!愛のポチリをお願いいたします。