台北市内から淡水に遊びに行くと、電車に30分以上乗って終点で降り、海が見えるせいか「はるばる来たぜ感」が高まります。何かお土産買わなくちゃ。妙な使命感に追い立てられて歩く淡水老街には、昔ながらの台湾カステラ「古早味蛋糕」のお店がいくつも並んでいます。
でも、どの店が美味しいのか決めかねて、結局買わずに帰ることが何度かありました。

この日は淡水で暮らす台湾人の友達と遊んでいたので、「買ったことある?」と尋ねると、間髪入れずに「この店にしよう」と教えてくれたのが「緣味古早味現烤蛋糕 老街店」。

「ヘルシーさがセールスポイントのお店のカステラを買ったら、タマゴやミルクの香りが全然立ってなかったの。でも、ここのカステラは香りもいいし、美味しかった。友達に持っていくと、みんな喜んでずっと食べてたよ」
パンやケーキ作りが得意な友達ならではの視点で勧めてくれました。
「喜んでずっと食べていた」。
って、様子が目に浮かぶよう。飽きが来なくて、誰にでも喜ばれるお菓子は良いですね。
「あと3分で焼き上がります」
お店の人が教えてくれたので、しばし店頭でスタンバイ。大きなオーブンから取り出された、ほっかほかのカステラをどのように扱うのでしょう。連続画像で見てみましょう!
まず底側の敷き紙を外すために、板を置いてやあっ!っと逆さまに。





底の紙をきれいにはがしたら、新しい敷き紙をがぶせて板にのせ、表向きに入れ替えます。サーッ!



ほっかほかの台湾カステラがあらわれると、集まっていたギャラリーから「おお~う」と歓声が漏れました。店頭でのカステラ返しアトラクション、まぐろの解体ショーほどではないけれど、人を引き寄せる魔力がありますね。

出来上がったカステラは、大きなお座布団かクッションのよう。この写真を日本の友達に送ると「一度でいいから出来立てを食べてみたい」
「台湾カステラに包まれて眠りたい」
と率直な要望がきました。カステラに埋もれて眠る……新しい感覚だな。人をダメにするふわふわのカステラ型クッションを台湾ネタ土産に作ったらどうかしら。持って帰るのが大変かな。でも一昔前は、シンガポールで枕を買って帰る人がいっぱいいたって聞きましたね。

きれいにスケーラーで計ってカットしていきます。

サイズがどのくらい、とはっきり書かないのが台湾流ですね。1ミリでも違ったら、クレームつけられてしまいますし。台湾カステラ、一般的には約600グラム前後と言われています。

原材料は牛乳、卵、小麦粉、砂糖、植物油。添加物なしでとてもシンプルなので、早めにいただきましょう。
お味はシンプル。日本でいう「カステラ」は、卵黄と蜂蜜、ザラメの味と香りを楽しみますが、この「台湾カステラ」は卵白。メレンゲがたっぷり、ぶるぶるしっとり。シンプルであっさりしているからケーキを食べる後ろめたさも罪悪感も薄まって、いくらでも食べてしまいそう。甘さ控えめでボリュームいっぱいだし、クリームやジャム、ピーナツバターや果物、なんでも好きなものを添えて楽しめます。原味(プレーン)は一個80元。色々なフレーバーがあるけれど、カステラは生地の美味しさをひたすら堪能するもの。やっぱり、プレーンが一番良いと思います。
<基本データ>「緣味古早味現烤蛋糕 淡水老街店」
住所:新北市淡水區中正路135號
(MRT「淡水」駅から徒歩10分)
電話:02‐2626‐7860
営業時間:月~金 11:00~20:00頃 、土日 9:00~20:30頃
定休日:無休
URL: https://www.facebook.com/YuanWei2010/
<コーディネーターのちょっとひと言>こんなカステラ一本貰っても普通はちょっと困るんだけど、あっという間に消えるのが台湾式の恐ろしいところ。清純派の悪いヤツって感じ?!淡水のような観光地はコロナの状況や天候で店舗の営業状態がフレキシブルに変わるので、開店、閉店間際の利用はご注意を。
(担当特派員:TOP33号)
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