
今年の夏の開店直後、「本物の香港の味!」と台北在住香港人の間であっという間に知れ渡った「細記港式麵包店」。MRT「南京三民」駅から南京東路を東へ5分、昼間は市場、夜は屋台が並ぶ「南京公寓市場」に入り、左手にあるセブンイレブンの脇の路地をのぞけば、その黄色い看板が見えます。

香港の街のパン屋さんならではのメニューが、店先にずらりと並んでいるのを見るだけで、香港にゆかりのある人たちは「あ、これ本物の香港人がやってる店」とわかることでしょう。
ここでは店内での利用も可能です。しかも、イートインのみの「奶醬豬」(60元)も!遅めの朝食やおやつに、香港式のホットミルクティ「熱奶茶」(中50元/大60元)とともにいただきましょう。


「奶醬豬」は、小さなフランスパンのような「豬仔包」を半分に切って軽くトーストし、バターとコンデンスミルクをかけたもの。香ばしく甘く、中はふんわりしているこぶたさんよ。
と、説明しただけで「食べる!」と叫ぶ日本のお友達、結構いました。香港ロケや旅行の合間、茶餐廳に連れ込むと100%喜ばれます。日本でもこの頃有名になって来た「菠蘿包(ポーローパウ)」を「香港のパイナップルパン、メロンパンのような…」と説明しても「ふうん……」とあいまいな反応が返ってくることもしばしば。
しかし「ソフトフランスパンを軽くトーストしてバターとコンデンスミルク」と解説する「豬仔包(ジュージャイパウ=こぶたパン」は、わかりやすく興味をそそられるみたいです。
こちらの細記で使っているのはニュージーランドのAnchor。サクサクの可愛いこぶたパンにバターとコンデンスミルク、甘しょっぱくて、ミルクティと一緒にしみじみとあたたまる。
「で、どうしてこれを豬仔包っていうの?」
問いかけると、顔を見合わせるお店の人たち。「調べてみたんだけど、ブタの鼻に似てるからみたいよ」と焼く前のフランスパンを顔の真ん中に掲げて見せてくれました。
看板には「イートインだけの秘密のメニュー」とブタさんのイラストで匂わせ。店内には香港の超人気アイドルグループMirrorのファングッズが置いてありました。

オーナーは長年香港の飲食店で勤め上げて来たのだそう。職人、販売スタッフもほとんど香港人で、少し香港訛りの台湾華語、香港人にはもちろん広東語で対応してくれます。私が買いに行く時は必ず香港人のお客さんも前後に並んでいて、臨機応変に言葉を変えていました。イートインをした日は、香港人と台湾人のご夫婦が子供連れでいたし、友達が利用した日はイートインが満席で「お客さんも店員も、全員香港人。すごかった」とのこと。広東語のおしゃべりに圧倒されたようです。


台湾に香港の茶餐廳やレストランは増えているけれど、この「細記」はより濃厚な広東語空間を楽しめるお店。パン屋さんだから気軽に立ち寄りひとつふたつ購入するだけでもいいし、もうちょっと深入りしたければイートインで。濃厚で甘さ控えめの熱いミルクティとエッグタルト「港式蛋撻」(35元)、クリーミーなチキンパイ「雞腿批」(50元)でパン屋さんならではのブレイクタイム。「菠蘿包」(35元)にバターを挟んだ悪魔の美味しさ「菠蘿油」(45元)は、持ち帰る際にパンとバターを分けることも可能。お家やオフィスでパンを温めてからバターを挟めば、脳天から溶けることでしょう。海を超えられない冬の台北で、ちょっと香港へお出かけ気分はいかがでしょう。
<基本データ>住所:台北市松山區南京東路5段291巷6弄2號
(MRT「南京三民」駅から徒歩5分)
電話:0900142828
営業時間: 月-土 07:30 ~ 20:30、 日07:30~14: 00
定休日:無休
<コーディネーターのちょっとひと言>台北周辺へのデリバリーもしているので、とても忙しそうでした。ちょっと遅くなると売り切れてしまうこともあるそう。確実に手に入れたい時は、電話やメッセンジャーで予約をしておきましょう。
(担当特派員:TOP33号)
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