中山エリアにある、どこか趣がある建物だけれど、入口横にはタップがずらりと並ぶカウンター。繁華街から少し外れ、夜は比較的静かなこの辺りで一際スタイリッシュな雰囲気を醸し出す2階建ての建物のここは、台北で最もチルなレストランバーとして、夜な夜な感度高めの人々が集う「at ease」。一時は予約も困難なほどでした。

建物の正面にはだいぶ剥がれかかってしまっているけれど「照島時計店」の文字。日本統治時代の建物なのだということが一目でわかります。
かつては日本式居酒屋などが入店していましたが、2021年11月より「at ease」がこの場所にお店を構え、コロナ禍もなんのそのといった様子。開店以来、連日多くの台湾人客で賑わっています。
このお店がなぜそんなにも話題なのか。
それはここがミシュラン一つ星レストラン「Impromptu by Paul Lee」のPaul Leeこと李皞シェフとアジアベスト50バーにもランクインしたことのあるカクテルバーDraft Landの創設者Angus氏がタッグを組んだというスペシャルな場所だから。
しかも、スポーツバーやタパスバーをコンセプトにつくられた立ち飲みスタイルのカジュアルな店なので、仕事帰りにPaul Leeの料理を味わいながらDraft Landのカクテルを一杯、なんていう使い方が出来るのです。
「Impromptu by Paul Lee 」は2018年に開店し、オープンからわずか8カ月でミシュラン一つ星を獲得したと台北のレストラン界にもかなり衝撃を与えた店。その後も連続でミシュランを獲得中。
「at ease」はそんな彼が立ち上げた全く異なるスタイルの2号店。店名の「at ease」は軍隊の号令「休め!(中国語で稍息)」からつけられたとのことですが、そのほかにも気楽に、くつろいでなどといった意味もある言葉。

料理はフランス料理の手法をベースにアジアンテイストを加えた創作無国籍料理。常時20種類ほどが揃います。Paul Leeが楽しみながら考案したのが伝わってくるメニューは台湾テイストを感じるものも多く、しかも一般的なダイニングバーと変わらないくらいの価格帯。こんな料理をつまみながら仲間たちとわいわい楽しみながら味わえるのですから、それは誰しもが訪れたくなることでしょう。
「Draft Land」はまるでクラフトビール専門店のように、ずらりと並ぶタップからあらかじめ調合してある”ドラフトカクテル“をグラスに注ぐ『Cocktails on TAP』で注目を集めたお店。

2018年に創設され、アジア初のスタイルとカフェのようなお洒落なお店で気軽に楽しめるカクテルはノンアルコールカクテルなどもあり種類豊富。瞬く間に話題になり、現在台北に3店舗、台中に1店舗、香港、バンコクに進出しています。
(HPには「TOKYO COMINGSOON」の文字が。日本で楽しめる日もそう遠くはなさそうです。)
店内は1階がカウンターと4~5人程度で利用できるハイテーブルが5席、2階が12人までが利用できる予約制の個室が1室と、決して広くはないので、予定が決まったらやはり予約が確実。

オーダーはテーブルの上にあるQRコードから。コロナ禍以降、台湾のレストランではこのオーダー方式が増えました。

カウンター上のメニューは中国語のみですが、QRコードを読み込んだ先のメニューは英語と日本のスマホからアクセスすると日本語も併記されていました。(ただ、日本語はおそらく自動翻訳なのでちょっとおかしなところあり。雰囲気で読みとりましょう)
カクテルメニューはこのQRコードの裏側に。

カクテルは常時12種類。
① BEER AT EASE
② CLARA ROSA
⑥ MIMOSA
⑩ SPORTS CLUB
が通常のDraft Landでは取り扱っていないこの店オリジナルとのこと。
① のみクラフトビールです。
この日はスタッフさんがおすすめしてくれた②CLARA ROSAと⑥MIMOSA
をいただきました。
こちらのオレンジっぽい色のカクテルが②CLARA ROSA。

ビール、アマーロ、柚子、グレープフルーツ、ライムを使用しています。これはオーナーが海外で出会ったスペインのレモンビール「Clara」からインスピレーションを得たカクテルで、レモンをグレープフルーツに置き換え、柚子やライムなどの柑橘系をさらに加えた爽やかな一杯。
⑥MIMOSAはフランスで誕生したカクテル。

スパークリングワインとオレンジジュース、オレンジリキュールのトリプルセックにライムとこれは間違いのない組み合わせ。
この2つはそれぞれアルコール度数も4%、6%とラインナップの中では低め。こんなに凝ったカクテルにもかかわらず、料金も200元とリーズナブルなのが「Draft Land」のドラフトカクテルの素晴らしさ。バーテンダーやお酒をずらりと揃えなくてもいいので、この料金が実現できているのです。
さらにat easeで提供しているカクテルはどれも食事に合うように甘さ控えめ。酸味や炭酸を使用したものが多く、すっきりとした飲み心地のものを揃えたラインナップになっています。
カクテル以外のドリンクはスピリッツ系、ワインがそれぞれグラスとボトルで、そのほかは瓶ビールとソフトドリンクの用意もあります。これらはQRコードの先のメニューに記載あり。
そして料理はこの3品をおすすめしてもらいました。

「炸天使紅蝦春捲」280元

その品質や味のよさから世界中のシェフからの人気も高い「天使の海老」。
at easeでは春巻き仕立てに。よくある春巻きは海老入りといっても海老が刻んであることが一般的ですが、この春巻きは海老1本がまるごと春巻きの皮に包まれているので、パリっとした皮の中から現れる天使の海老の味わいをダイレクトに楽しむことができます。
「無花果蜂蜜Ricotta炸饅頭」200元

こちらはデザート感覚の一皿。フレッシュな無花果の土台はなんと揚げ饅頭。一般的には蒸してふわふわのものをいただく饅頭ですが、ありそうでなかったメニュー。しかも饅頭は自家製。生地はむっちり香ばしく、あっさりとしたリコッタチーズと蜂蜜の甘さがちょっと甘いものでも、という気分の時にぴったりです。
「鐵板豪野鴨胸」780元

そしてメインはこちら。宜蘭のブランド鴨「豪野鴨」の胸肉を贅沢に使用した鉄板焼き。
付け合わせの野菜は季節によって変わるようですが、この日はマッシュポテトとグリルしたズッキーニなど。テーブルに運ばれてから特製の黒胡椒ソースをたっぷりかけて仕上げてくれます。台湾人が大好きな夜市ステーキのat easeバージョンといった感じで、柔らかで旨味の凝縮されたブランド鴨の美味しさを熱々の状態でしっかり味わうことができます。
<基本データ>
住所:台北市中山區中山北路一段49號
(MRT淡水信義線台北駅M2番出口より徒歩約6分)
営業時間:日~木18:00~0:00、金土18:00~1:00(定休日:火)
電話:02-2563-2499
URL: https://www.facebook.com/profile.php?id=100072431165938
<1-9号のちょっとひと言>
確実に美味しい料理と美味しいカクテル。しかも最近の台湾ではその辺のカフェでもこのくらいの値段は取るのでは?と思える手頃な価格。
予約はオンラインでも受け付け可能で
https://inline.app/booking/atease/atease
いまは特にカウンターならだいぶ予約が取りやすくなっているので、思い立ったらat easeでさっと飲もうよ、なんて使い方が気軽にできてしまいます。
スタンディングかーと懸念される方もいるかもですが、よほどぐったり疲労困憊しているのではなければ、おそらく料理とカクテルの味わいに、むしろ疲れも吹き飛ぶはず。メニューも季節によって入れ替えもあるそうなので、定期的にぜひチェックを。
(担当特派員:TOP1-9号)
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