台北の住宅街に、居心地のいいタイ料理があります。古い木の窓枠やガラスを無造作に組み合わせ、2018年の夏にオープンしたのに、もっと昔からそこにあったような佇まい。予約が取れなくなるほど有名になるのは困るけど、美味しいものはシェアしましょう。
MRT南京三民駅から徒歩8分ほどの「考山路 人生好苦之泰居酒」は、中国語で「カオシャンルー」。バンコクにある「カオサン通り」からとったようです。
平日のランチタイムのみの、セットメニューを食べに行ってみました。

ガパオライス「打拋豬肉飯(170元)」。死ぬほど美味かった。
実は33號、辛い物が大の苦手です。どこかへ食事へ行くにも、タイ、韓国、四川は最初から外してもらい「辛いものは食った気がしねえ」と敬遠していました。
このガパオライスも、とても辛かった。でも、きちんと丁寧に作られた料理というのは、辛さを上回るしみじみとした旨さ、味わいがあるのだ。それを改めて、この「孝山路」のランチプレートに教えられました。プレートには、青いパパイヤのサラダと、キャベツの炒め物が添えられています。
これも死ぬほど美味かった。
ただのキャベツの炒め物ですやん。と思うでしょう。どうすればこんなふうに、綺麗に油が回って歯ごたえと甘みを引き出せるの?ランチプレートに料理を美味しく作る心と技が込められているのを感じ、久しぶりに
「シェフを呼んでくださらない」
と泣きながら言いたくなりました。
泰式奶茶(70元)濃厚なタイスタイルのミルクティの甘さが、辛い料理の息継ぎ。マイルドに和らげてくれます。ココナツジュース(70元)や無糖烏龍茶(40元)などもありました。
ランチセットはグリーンカレーや蝦つきパッタイなど6種類。
流れていたのは、穏やかなクラブ系音楽でした。最初はちょっとだけ、人を選ぶ店かな、敷居が高いかも、と思ったお店。でも、意識が高いとか、クラブ系で騒がしいとか、落ち着かなくなる要素はありません。昼さがりにしみじみと美味しいものを食べる、幸せな空間でした。
ランチ営業は月曜日から木曜日のみ。金、土は夜だけの営業で、2時間利用の制限つきです。
あまりにも美味しかったので、友達を誘って夜の部にも来てみました。椅子とテーブルの席のほかに、タイ式お座敷の席も。リラックスできそうですね。
今回一緒に食べに行った友達はみな、タイ料理は初心者。メニューは中国語のみでタイ語や英語も記載はありません。お店の方に「おすすめ」を尋ねながら、注文をしました。

タイのビールは海外では「シンハ」が有名だけれど、せっかくだから初めて見る象のマークの「チャーン」にしてみます。すいすい飲めて、料理にもあうよう。私はシンハのほうが「異国」を感じ、チャーンは台湾ビールに近い、親しみを覚えました。グラスはタイ語で書かれたコーク、ファンタ、バヤリース。台湾居酒屋の台湾ビールやカルピスの小さいグラスとはまた一味ちがう可愛いものでした。タイのドラマで覚えた乾杯「チョーン」と言いながらグラスをあわせる日本人チームに、お店のお兄さんたちは「?」と首をかしげていました。

「唐揚鶏」(130元)。ビールが美味しいのでついから揚げを頼んでしまいましたが、日本式とは少し違う、ふわっとしたフリッターのよう。
「松坂猪」(220元)は上品なサイズの豚肉ロースト。タイ式か塩味を選べます。柔らかく、柑橘を絞ると甘く香ばしい。
「泰式蘋果起士捲」(160元/2串)はタイ式りんごの肉巻きチーズのせ、オーナーのおすすめ! フルーツとチーズとお肉の組み合わせが好きな方はぜひ。

「烤大頭蝦」(230元/5尾) 香ばしく焼いたエビ。シンプルに甘く、中華料理とはまた違う南国を感じる調理法、美味しいな。
「綠咖哩焗烤起司馬鈴薯」(160元)。グリーンカレー味チーズポテト。辛いのかな?とみんなおっかなびっくり注文したけれど、まろやかでとても美味しかった。
「涼拌青木瓜」(120元)青パパイヤのサラダ。ほんのり辛くてパパイヤの青さがさっぱりシャキシャキ、ピーナッツとパクチーを添えて。前菜にも、箸休めにもぴったり。夏にはこれを、ずっと食べていたい。
「泰式炒河粉」(130元)。米粉の麺と野菜を炒めたもの。これがパッタイなのでしょうか?中国語しか書いてないのでよくわかりません。
ひとつひとつのポーションは小さめでお手頃。時間制限もあることだし、美味しいものをテーブルに沢山並べて微笑んでいた私達に、「平日なら時間制限なしだから……」とお店の方が教えてくれました。
「そういえば、全然辛くなかったね?」
帰り道にみんなで顔を見合わせるほど、辛さではなく、美味しかった記憶だけが残るタイ料理店です。
<基本データ>所在地:台北市台北市松山區南京東路五段250巷2弄28-1號
(MRT「南京三民」駅から徒歩8分)
電話番号:非公開 ※予約はFacebookのメッセンジャーで
営業時間:月~木 11:30-14:30 、18:00-23:00 金~土 18:00~0:30(日曜休)
夜営業時はミニマムチャージ300元/1人
<コーディネーターのちょっとひと言>店の外観は、台湾レトロのようで一味違うテイスト。台北でも、他には似たお店が無い独特の雰囲気です。夜の部は平日でも混んでいるので、必ず予約を。様子見でお昼に行くなら、早めだと入りやすいですよ。
(担当特派員:TOP33号)
ランキング参加中!愛のポチリをお願いいたします。
