高級感のある外観がこの辺りでひときわ目立つ「玖尹(ジゥイン)」は2020年7月にオープン。
ホテルのようなラグジュアリーな空間でスタイリッシュな創作広東料理や飲茶を一日中楽しむことが出来るレストランです。

MRT松江南京駅から徒歩約4分。路地の中にありますが、伊通公園という小さな公園に面しているので、環境もよく、窓から見える公園の緑に癒されるようなとても気持ちのいい空間です。

すぐ近くにはチャンピオンコーヒーのカフェとして名高い「Fika Fika Café」や料理やスイーツが美味しいと評判の優雅でお洒落カフェ「老爺小花園 Royal Petite Garden」などもありますが、「玖尹(ジゥイン)」は老爺小花園のオーナーでもある顏瓊姿氏が新たに立ち上げたレストランとして話題を集めています。
顏瓊姿氏はロイヤルホテルグループの副会長でもある廖年祈氏の奥様で、自身もグループの取締役。カフェもレストランも「老爺」とつくので、ロイヤルグループ系列なのかと思っていましたが、顏瓊姿氏がプライベートで経営しているそうです。
顏氏は台湾早期五大家のひとつ「基隆顏家」のご出身とのことで、相当なセレブ。
お店が醸し出す高級感にも品があります。
店名の「玖尹」の英名はRoyal Joying Soirée。Royalはロイヤルグループの輝かしい背景を、Joyingは喜び、Soiréeはフランス語のソワレを表しています。
「玖」の発音(ジゥ)がJoyingと似ていて美玉(宝石)を意味することや「尹」は格の高い地方官名の名でもあることから、どの時間においても利用客が家族と友人たちとともに、トップレベルのサービスと料理を通して、美しく心地よい時間を過ごしてほしいという思いからこの名がつけられたそう。

料理は広東料理界の有名シェフ鄺啟明氏を顧問に、彼の弟子でもある李冠儀氏と李國聖氏を招き、伝統的な広東料理の手法をベースに、玖尹のイメージにふさわしい、ほかにはない華やかで印象的な新感覚の創作広東料理と飲茶の数々を提供しています。

店内は1階と地下にも座席があり、全88席。1階はゴールドと白を基調とした明るく華やかな雰囲気。時折籐のナチュラルな椅子も使用されているので、温かみのある柔らかさも感じられます。
地下には豪華なバーカウンターもあり、こちらはシックで高級感のある大人な空間。個室やステージもあるので、ミュージシャンによる演奏を楽しむこともできます。
また、階段側の壁一面には著名なアーティストによる映像作品が映し出され、まさに五感で楽しめる空間となっています。


玖尹の営業時間帯はランチ 11:30~14:30、アフタヌーンティー 15:00~17:00、ディナー 17:30~21:30というように3部制になっていて、メニューはHP(https://www.royal-joying.com/Foods.aspx)やFacebookページ(https://www.facebook.com/royaljoying/menu?ref=page_internal)からも確認することができます。中国語と英語のみで日本語はありません。
ランチとディナーはセットやコースなどの設定は特にないため、すべて単品でのオーダー。それぞれ共通のグランドメニューから選びます。
メニューのはじめには季節限定の料理も掲載されているので、その時期ならではの味も堪能することが出来るほか、ディナーには限定の点心なども用意されています。
アフタヌーンティーには専用のセットメニューがあり、10のメニューから好きなものを4つセレクト。お茶がついて699元+サービス料が10%。そのほか、グランドメニューにある点心からも単品注文が可能ですが、その場合の最低消費金額はひとり300元となります。
また、ランチとディナーの際は、伝統的な広東式と同じようにひとりお茶代60元が必要とのこと。ジャスミン茶、鉄観音茶、菊プーアル茶から好きなお茶を選びます。お酒の持ち込みも可能で、持ち込み料はワインが1本ごとに500元、そのほかのお酒は同じく1本ごとに1000元がかかります。
さて、それでは料理です。
今回はシェフが膨大なメニューの中から日本人の好みに合いそうなおすすめを選んでくださいました。
・黑松露素粉粿 188元

翡翠色が目に鮮やかで美しい点心は、伝統的な潮州粉粿をベジタリアン用点心にアレンジ。色付けには日本産の抹茶を使用しています。口に運んだ瞬間から黒トリュフの香りが一気に広がる贅沢な味わい。しいたけ、エリンギ、しめじなど数種のキノコとズッキーニを細かくカットしたものを餡として使用しているので、それぞれに異なる食感が非常にいいアクセントになっています。しっかり味がついているので、何もつけずにそのままいただきます。
・蟹籽紅米香脆龍蝦港式布拉腸粉 388元

華やかなバラ色が非常にガーリーなこちらは飲茶でも人気料理の腸粉。紅谷米という紅麹米を使用して色付けをしています。腸粉の中はロブスターと海老をベトナム春巻きの皮で包み揚げているので、滑らかでもちもちとした後に現れるサクサク感、そしてロブスターと海老の弾力と、こちらもまた見た目とともに異なる食感が魅力的な一品です。
・陳年花雕浸熟紅蟳 1288元

ドライアイスの演出共に運ばれてきた大きな蟹は「紅蟳(ノコギリガザミ)」。8割ほど蒸した後、紹興酒の一種である18年越えの花雕酒と3種の醤油、唐辛子、金木犀を合わせた特製ダレに2日間漬け込んだもの。半生状態でしっかり味の浸み込んだとろりと滑らかな蟹味噌と蟹肉、濃厚でやみつきになる紹興酒の香り。リッチな甘みが非常に耽美な「究極の酔っ払い蟹」です。
・新粵式魚翅撈脆米 1688元


「新広東式フカヒレスープ」と名付けられたこのスープ。見るからに濃厚なクリーム色のチキンスープは油脂をたっぷり含み、皮が薄く肉質が柔らかい玉米鶏を3時間蒸した後、じっくり煮込んでいるそう。そして、中にはとろとろに煮込まれた豪華なフカヒレの姿煮。テーブルではお米をサクサクに揚げたクリスピーなパフ(撈脆米)をトッピングし、追いスープをして完成。このスープにパフを合わせるのは近年の流行とのこと。
コラーゲンたっぷりのスープとフカヒレ。翌朝が楽しみになる、まさに飲む美容液のような贅沢なスープです。
・楊枝甘露 248元

伝統的な香港スイーツ「楊枝甘露」を玖尹流にお洒落にアレンジ。爽やかなブルーが印象的なガラスの器はドライアイスの演出もあり、思わず動画を撮りたくなるフォトジェニックさ。楊枝甘露はマンゴーとポメロ、ココナッツミルクや白タピオカをベースにしたスイーツですが、さらにアイスクリームやマンゴージュースが中に入ったタピオカを追加することで、新たな食感や特別感が生まれ、優雅な食事の最後にふさわしい、ご褒美感のあるデザートに仕上がっています。
<基本データ>
住所:台北市中山區伊通街39號
電話:02-2508-2700
営業時間:ランチ11:30~14:30、アフタヌーンティー15:00~17:00、ディナー17:30~21:30
<1-9号のちょっとひと言>
高級素材をふんだんに使用したセレブリティな料理の数々は台湾のメディアから「新派粵菜(ニュースタイル広東料理)」と表現されることもあり、一皿ごとに演出がみられ、洗練された華やかさが堪能できます。しかし、ベースは伝統的な広東料理。シェフの技術がしっかりと生かされた安定した味わいを楽しめるので、幅広い年齢層の方に楽しんでいただけます。
今回いただいた料理はもちろんどれもがうっとりとしてしまう美味しさでしたが、中でも最初にいただいた「黑松露素粉粿」が特に印象的でした。
黒トリュフの香りと、食感が忘れられず、リピートしたい一品です。
まるでホテルの高級レストランのような清潔感と安心感のある空間は、特に1階は周辺の公園含め、ローカルな雰囲気の中にあるからか、思っているよりずっと入りやすいお店です。特にアフタヌーンティーの時間帯はセットもあるので、気軽に利用できるのがうれしいところ。隠れ家のように、大人の雰囲気で楽しみたければバーカウンターも併設された地下の空間がおすすめ。お祝い事や会食など、リッチな食事を楽しみたいときにもふさわしいレストランです。
(担当特派員:TOP1-9号)
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